ハナイカダ 丘陵から山地にかけての雑木林のやや湿った林内などに多く見られる株立ち状の低木で、2mほどになります。花は春に咲き、葉の主脈の中ほどに淡緑色のあまり目立たない小さな花を1~数花つけます。葉に花がついたようすを筏に見立てて『花筏』の名前がつきました。雌雄異株で雌木には、夏に黒紫色の実が熟します。若い葉は食べられます。
ハナズオウ 春の盛りに、紅紫色のかわいい花を枝の所々に群生して咲かせる姿が一番の見どころです。葉に先立って花をつけるのでよく目立ちます。中国から300年以上前に渡来したといわれ、個人庭園をはじめ公園や緑地に植えられてよく親しまれてきました。近年は白花の品種やアメリカハナズオウの葉色の変わった品種なども見られます。
ハナノキ 紅・黄葉が一番の見どころのカエデの仲間にあって、春に開花する花は真っ赤な糸状で、枝先にたくさん吊り下げた姿が特に美しいことから、『花の木』と呼ばれる高木性のカエデです。長野県・岐阜県・愛知県の限られた地域に自生しています。なお、秋に真っ赤に紅葉にする葉も美しく、観賞価値も高いことで知られています。よく似た種類に北米原産のベニカエデ(別名アメリカハナノキ)があり、園芸品種も生産されていて、街路樹や公園・緑地などに利用されています。
ハナミズキ 端正な樹形と花や実、紅葉が魅力です。4~5月ごろ葉に先立って4枚の白い総苞のついた花を咲かせ、秋には赤く熟した実と美しい紅葉を楽しむことができます。明治時代に東京市が贈った桜の返礼としてアメリカから贈られた樹です。
ハナモモ 果実を収穫するモモに対し、美しい花を楽しむ品種をハナモモと総称します。中国から渡来した樹木で、品種の多くは江戸時代に作出されたといわれています。春の華やかさを演出する花木としてよく用いられます。
ハマギク 青森県から茨城県那珂湊までの太平洋岸の海辺に生える野生のキクです。花径は6㎝のもなる白花の大輪で、野生菊としては最も大きいことで知られています。日本の特産種で学名は、『Nipponanthemum nipponicum』で、属名にも種小名にも『Nippon(日本)』がつくのは、鳥のトキと本種のみです。江戸時代初期の文献にも記載があり、古くから栽培されてきました。
ハマゴウ 海岸の砂地などに自生する海浜植物です。常緑の低木で、高さは30〜60cmほど。茎は砂上を這って伸び、長さは2mにもなります。夏には青紫色の花を咲かせてよく目立ちます。漢方では乾燥させた実を蔓荊子(まんけいし)と呼び、強壮効果のほか、頭痛や風邪に用います。葉も蔓荊葉(まんけいよう)と呼ばれ、薬や入浴料に用います。
ハマヒサカキ 関東以西の暖地の海岸の岩場などに自生する常緑樹です。葉は小さく、厚く光沢があり厳しい都市環境にも耐えることから、公園・緑地や庭園など広範囲に利用します。また、耐潮性が強く、臨海部の植栽にも利用できます。冬に開く花は都市ガスの臭いに例えられる特有の臭いを発するので、大面積での利用には注意が必要です。
ハマボウ 暖地の海沿いに自生するハイビスカスの仲間です。花の少ない夏に咲く貴重な花木で、大輪で黄色の一日花が魅力です。葉裏は灰白色の毛に覆われ、厚みがあります。自然樹形を活かして、ガーデニングなどに利用されます。強靭な樹皮の繊維はロープや織物などに用いました。
ハマボウフウ 日本では各地の海岸に見られ、畑でも栽培される多年草です。高さ10〜30cmほどで、根は太く砂中に伸びます。初夏から白い花を多数つけます。名前の由来は中国の薬用植物「防風」にちなみ、浜に生えることからついたといわれます。やわからかい段階の茎葉は食用になり、セリ科ならではの風味があり、刺し身のツマやさまざまな和食に用いられます。野菜として売られることから「八百屋防風」の別名があります。また、根は漢方薬に用いられ、発熱や鎮痛に効果があるとされます。また、浴湯料にすると疲労回復の効果があるといわれます。