トネリコ 野球のバットに利用する樹木として知られる落葉広葉樹です。本州中部以北の山地など冷涼な地域の湿地に生えることから、地下水位の高い公園や緑地に、また、田んぼの畔などに植えて稲を干す稲架木(はさぎ)としてもよく利用し、新潟県などでは秋の風物詩として親しまれています。近年よく利用されるアオダモやマルバアオダモを指して、トネリコと呼ぶことがありますが、属は同じですが種としては異なるので正しい名前で呼ぶことが求められます。
トベラ 暖地の海岸に自生することから、耐潮性や耐乾性が強く、厳しい都市環境にあっても良好に生育することから、海岸や公園・緑地、和風庭園などの刈り込みなどによく用います。花は春に咲き、咲き始めは白く、後に黄色く変わる小花で良い香りがします。半面、枝葉には悪臭があり、節分にこの枝を戸口にさして邪鬼を避ける習わしがあったことから、トビラノキと呼ばれ、それが変化してトベラとなったといわれています。
ナツグミ 春に花が開き、初夏に実が熟すことから夏グミと呼ばれます。やや細長い赤い実が、枝から垂れ下がって熟し、実は渋味がありますが甘みもあって生食できます。一般的には花壇の彩りとしてガーデニングなどに用いることが多いですが、庭園や建物周りの外構植栽などにも用います。
ナツツバキ 緑一色の初夏のころに、ツバキの花に似たやや大きめの白い花を樹冠一杯につけた姿が一番の魅力で、名前の由来ともなっています。一つ一つの花の寿命は短いですが花つきがよく、次から次へと1か月ほど咲き続けます。やや縦型の端正な樹形は和洋を問わず建物との相性がよく、雑木植栽や公園・緑地などでも広く利用します。
ナデシコ(宿根性) 野生種が300種ほどあるという種類の多い草本で、園芸的にも改良が重ねられて、春咲きから秋まで咲き続ける四季咲きまであり、種類を変えながら利用すれば長く楽しめます。宿根性の種類としてはタツタナデシコが代表的で、開花期は5月から7月ごろで、花期以外の時期も青緑色の葉が密集して地面を被うので、グラウンドカバーとしても広く用います。
ナナカマド 北海道などの北国を象徴するような燃えるような紅葉が一番の見どころです。同時に大きな房に真っ赤に熟す実も魅力的で、葉が落ちた後も長く残り、寂しくなりがちな冬景色に彩りを添えてくれます。花は白い小花で、初夏の頃に開きます。樹形はやや縦型に伸びることが多く、北海道などでは街路樹に用いますが、古木になると枝が広がりボリュームがでるので、公園や緑地、建物周りなどのポイントツリーとして利用しても効果的です。名前は、「竈の中に七度入れてもまだ焼け残る」ということが由来です。
ナラガシワ 分布は岩手・秋田県以西ですが、関東では野生の個体を見ることは稀で、西日本、特に中国地方に多く自生しています。葉はミズナラとカシワとの中間的な形で、秋には紅葉します。造園では春の芽出しが黄金色で非常に美しい品種のオウゴンガシワを利用することが多く、野生種を利用することはほとんどありません。
ナリヒラヒイラギナンテン (マホニア コンフューサ ‘ナリヒラ’) ソフトでスマートな印象と育てやすさが魅力の常緑低木です。ヒイラギナンテンの仲間(マホニア属)ですが葉の刺は少なく、細長い小葉をつけた複葉が枝先に集まってつきます。花の少なくなる10月から12月にかけて黄色の花穂が楽しめます。
ナンキンハゼ 中国原産の落葉高木で、一番の魅力は暖地でも美しく紅葉することです。また比較的耐潮性があることから、臨海地の公園や街路樹としても用います。秋に熟す実は果皮が割れると白いろう質の仮種皮に包まれた種子が顔を出し、冬になっても樹上に長く残っています。かつては種子からロウや油を取りました。種子は有毒です。
ニシキギ 秋の紅葉が特に美しいことで知られ、その美しさを錦(錦繍)に例えて名づけられました。細枝には翼のようなコルク質が発達する特徴があり、この姿からカミソリノキと呼ばれることもあります。実は秋に熟し、割れて赤橙色の仮種皮に包まれた種子をぶら下げます。よく似た仲間のコマユミは、翼のようなコルク質ができません。